スタッフblog

orangeでの日々を更新しております。

重度?軽度?

行政への批判ではないのですが、ここ最近、どうも障害の判定で支援の大変さが決まると考えられているのではと考えさせられることがあります。

同じ障害をもつお子さまの保護者様同士でも、「あなたのところはいいですね。(障害が)軽くて。」なんて言われることがあるとか。本当なら恐ろしいことです。

確かに、重度の方はとても大変です。そのためか、国からは手厚い補助金と、人が当てられています。

でも、軽度の方の中は厳しい社会に出ていく人もいます。一例ですが、障害が軽いと言われ、一般就労をした人が一生懸命に働いて、そのお給料をもってキャバクラに通うそうです。なんでそんなものに少ないお給料を?と聞くと、「話を聞いてくれるから…」と言うそうです。

こういう苦しみをもつ方はたくさんいらっしゃいます。もっと手厚い支援で、人間性や外での振る舞い方、自信、自尊心、社会性を身に付けてあげられていたら、こういう人達の人生は変わった可能性もあったはずです。

障害をもつ当事者の話を聞くと、当事者でもない人たちが障害の大変さを比べているなどというのはあまりにもナンセンスなのでは、と思うようになりました。

障害の種類や重さはあっても、それぞれが、それぞれに大変で、その家族も本人も苦しみを抱えています。そして、教えることは違っても、どちらにも「人」が必要で、高い専門性が必要なのは変わらないのですから。

支援の腕

他施設の支援に行くときは、必ず職員の腕を見ます。

腕とは実力の比喩ではありません。「腕」そのものです。その施設の思いの一部をそこでもはかることができると考えているからです。

学校も、他事業所にも、時に重度のお子さまを持つお母様、Orangeの職員も、まわりに集まる人はみんな腕が傷だらけです。

重度の障がいや感覚過敏、行動障害などのある児童の中には時に激しい他害や自傷行為などがある人がいます。

それに対する考え方はそれぞれで、それら対処のため、部屋に閉じ込め、お薬を大量に処方する方法をとられたり、メソッドが通じない、人がいないからと利用を断るところもあります。それが悪いと言いたいわけではありません。ビジネスとして捉えるうえで、また、実力が足りないと判断して他の利用者のも考えると、ある種仕方ないと思います。

しかし、そういった方法をとらず、お子さまに怪我をさせないよう、パニックや行動障害に生身で向き合う人達がいます。そんな人達は気がついたら、みんな、傷だらけの腕になっています。

薬等、効率的な方法に頼らない職員は、行動障害やパニックのおさめかたを知っています。そして、薬を使わないことで、子どもの豊かな表情や成長を見ています。そして、強度行動障害や、他の場所で見れないといわれる行動障害の激しさを知っています。

その子達が家庭にいられなくなり、施設や精神病院に送られ、どうなったか、どんな顔になっていったのかも知っています。

だから楽な方法をとれません。子どものことを考えたら、実力がたとえ足りなくてもやらねばという使命感にかられます。

子どもと向き合い、体当たりで支援をするこんな方法につきあったり、学びに来てくれようとする施設や先生方、職員には感謝しかありませんし、子どもたちがそういった人に支援を受けられたらと思います。

今では、さすがに先回りの支援が出来るようになり、生傷は古傷に変わりました。手を見るたびに、あまりに汚い手だと思います。でも、一生消えない傷は、子どもたちと向き合ってきた証であり宝物です。

だから、そんな手の事業所の代表様や、保護者様には手を見せて、「同じです」と笑ってお話します。「とっても良い職員さん、保護者様ですね。手をみただけでわかりますよ」と。

家庭支援について

記録的な大雨で学校も休校になりましたね。この雨と長期化したお休みで生活リズムやパターンも崩れてしまったお子さまもいるかと思います。

Orangeでは、施設内の療育だけでなく、ご家庭と連携した支援も行っています。基本は療育の成果を生活やご家庭に返すという形が理想です。しかし、そうも言えないような、緊急性のある児童、特に急に家から出れなくなったというような児童は、許可をいただいて、ご家庭に入り、外に出すための支援を行います。

この”家から出られない”という行動は、生活の質を著しく落とすだけでなく、長期化することもあるのです。

過去に、40年間引きこもり部屋から出られなくなった成人の方。学校を拒否し、外に出るのも拒否し、噛み、叩き等家族や他の人を傷つけてしまっていた高校生。休校になった事がきっかけで登校拒否が続き、暴れて警察が来てもどうしようもなく、連絡をいただいた中学生。こういった精神病院や入所施設に送られる可能性もあった方の支援をし、平穏な家庭に戻してきたこともありますが、どの支援もご家族の負担も多く、個別療育でも一年ほどかかりました。私たち自身も傷を負い、ご家族の方が責任を感じてしまう事もありました。

こうなる前に直接私達で早期に家庭と連携することができればと思っています。

問題行動の始まりは、対処が早ければ早いほど、回復も早くなります。いずれ、なんとかなるだろうという軽い気持ちは、深刻な結果に繋がります。Orangeを利用してくださっている皆様、もしこんなことがあれば、悩む前に私たちに、ご協力させてください。