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orangeでの日々を更新しております。

Orange3つの柱~その3~

今日はOrangeの3つ目の柱“体操”についてご説します。

児童の発達を考える上で、運動は欠かせません。

運動の苦手な児童や、発達を促すために運動が必要な児童が多いのはもちろんですが、現代ではご家庭の都合や犯罪などの社会状況、広場などの減少などから歩くことをはじめとした体を動かす機会が大きく減少しています。しかし、本来児童の運動を実践することは、運動能力だけでなく心身の発育、脳の発達などにも極めて重要です。

Orangeの体操活動は、児童に対して粗大運動や模倣、バランスや物を使った動作等、集団と個別それぞれの場面で、多様な動きの獲得、体力・運動能力を培うための活動を設定し、行っています。

集団での活動の一例として、ある程度のまとまった時間を使い歩く、走る、止まる、と基本動作から始め、決まった職員の動きを模倣をする粗大運動を取り入れています。

集団で動くことによって、注意の持続しにくい児童や、言葉での説明がわかりにくい児童にとって、どう動けばいいのか、今なにをすべきか、がより明確に伝わるようになります
歩く時は、普通に歩くより少し早く歩くことを意識しています。そうすることでただ感覚的に歩くのではなく、意識してしっかり歩く事ができます。
集団での体操中には、音楽を流しています。歩く時はマーチの曲、走る時はスピード感のある曲等、それぞれの場面にあった曲を準備して流すようにしています。
中には、聴覚過敏のある児童もいます。聴覚過敏のある方には、音の刺激が神経に触れる程の痛みを与えてしまう場合もあります。
そういった児童がいる場合は、イヤーカフ等を使用するのではなく、音楽の音量を調節し、安心して活動できるように配慮しています。

個別の場面では、それぞれの発達段階に応じて設定を組んでいます。求められる課題が身についたら、次の課題に進む等、児童の運動能力の獲得状況を見ながら設定を組み、多様な動きの獲得(動きの増大)のあとは動きの洗練(力みやぎこちなさを取れるようになど)をするようなプログラムにするなど、活動を組み立てる際には気をつけています。
個別活動の中では、運動のみでなく他の児童が活動している時はきちんと座って待つという事も意識して関わっています。
その為、年齢が離れた児童たちにも協力してもらい、今までの体操活動の中で身に着けた動きのお手本となってもらっている場合もあります。行っていることは個別ですが、その中でも集団として活動をするという意識は持てるように職員は気をつけています。

他にも、運動発達について保護者様や、学校をはじめ、児童に関わる人々が運動をどのように実施しているのかについて、共有していくことも重要です。例えば学校で縄跳びをする時期になったらみんなで練習をし、学校と活動の手ごたえについて情報共有するなど、ご本人の能力に合ったものであれば、学校や家での活動に合わせて内容も柔軟に変更しています。
もちろん、Orangeの中での活動だけではありません。公園が目の前にあり、滑り台、ブランコ、鉄棒などの固定遊具の活用を通して、子どもが安心し、安全に全身を使って思い切り体を動かす機会を作ったり、天気のいい日には大きな公園に行き歩行訓練をしたり季節や行事にあった場所に行き散歩をしたり、ルールのある遊び、例えば鬼ごっこや希望する子には野球の練習をしたりしています。

その中で、階段を一人で登りきれなかった児童が一人でもしっかりと登れたり、野球ボールをバットに当てれなかった児童がバットに当たるようになって「野球選手になりたい」と言う児童もいます。

児童だけでなく職員も「できた!」という瞬間を共有出来るとてもやりがいのある時間となっています。

 

Orangeの活動

今日は、3つの柱についてではなく、Orangeでの活動についてご説明したいと思います。
Orangeには、児童たちが喜ぶようなおもちゃやゲームはあまり置いていません。それは、Orangeに来た時は、家では出来ない事をしてほしいと考えているからです。

児童の中には、学校で他のお友達と遊べない子もいます。そんな子が、初めて友達と鬼ごっこが出来た、と喜んでくださった保護者の方もいらっしゃいます。
他人への興味があまりなかった児童が「〇〇くんお友達」と言ったり、あまり話さない児童がOrangeで何をしたか家で話してくれるようになったりと、保護者の方から嬉しいお話を聞く事があります。

Orangeの職員は、鬼ごっこなど、集団遊びの際、ただ近くで見守るのではなく、一緒に参加します。その遊びの中でうまく入れない児童たちも参加出来るように促したり児童同士のトラブルがあればすぐに仲立ち出来るように常にアンテナを張っています。
なるべくトラブルにはならないように配慮していますが、児童たちのケンカは、多少ならそれぞれが葛藤し、許したり謝ったりする大切な場だと考えています。そして、何が悪かったか、何が嫌だったのか、また一緒に遊ぶためにどうすればいいか、言葉にしにくい児童とも向き合ってそれぞれの思いを聞くようにしています。

また、Orangeでは、児童たちが「〇〇したい」と言った発言を大切にしています。
「キャンプがしたい」や「ピザを作りたい」と言ってくれた児童にはそれが出来るようにサポートをしました。ただこちらで全ての環境を設定し、用意するのではなく、自分たちで計画を立ててもらい必要な物を調べてもらったり買い出しに行ってもらうようにしています。その中で、お金の使い方や時間の使い方を学び、近隣の公民館等地域の施設を借りる事で地域の方との交流の機会にもなっています。

また、じゃがいも掘りやぶどう狩りに栗拾いなど、季節によって自然に触れ合う機会も作っています。
最近は、保護者の方からの要望もあり、将来に向けた作業訓練や休日の利用で公共交通機関を使った外出を行うなど将来に向けた活動も増やしています。
児童発達支援では、小学校に行く為の事前準備として、板書の練習もしていく予定です。

 

※次回は、Orangeの3つの柱の3つ目、体操についてお話する予定です。

Orange3つの柱~その2~

今日は、Orangeの2つ目の柱“療育”についてご説明させていただきます。

ホームページにも記載してある通り、Orangeにはメソッドやプログラムというものはありません。

各児童の課題に応じて支援を組み立てていくようにしています。

例えば、「塗り絵ができない」と言われていたお子さんに対して、集中して取り組める環境を設定し、塗るときの体の使い方を教えました。それだけでも、下で見てわかるように変わりました。

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また、Orangeには児童の発達に合わせた教材を置いています。課題学習の時間や、児童の宿題の時間に教材を使って各児童にあった教え方で取り組んでいます。

例えば、1~10の数唱と数字の形の理解はできているけど“0”がわかっていなかったり、“1個”が分からない児童もいます。

Orangeでは、形だけの理解ではなく、生活に活かすためにどうしたらいいのかを考えています。「今何ができないか」という視点ではなく「これから何が必要か」という視点を大切にしています。

予定を伝えるだけではなく、予定の変更にも対応できるように取り組んだり、文字に興味がもてない場合は、文字を使った遊びの中から学習意欲が持てるように等、児童に合わせた支援を組み立てています。

こういった療育の結果は、各児童に頑張った分だけ返していきたい、と考えています。

その結果として、家でお皿を割ってしまう児童が外食に行けた、お泊りに不安のあった児童が宿泊訓練を楽しく過ごした結果「また行きたい」と言ってくれた、宿題ができない児童がOrangeでたくさん遊びたいから宿題を終わらせてきた等、たくさんのうれしい声が寄せられています。